はじめに
みなさんこんにちは!看板は古くから存在する、お客様と企業サービスをつなぐコミュニケーションツールで、いわば「企業の顔」となる大事なメディアです。
今回はそんな看板の落下が原因で起こる事故や、その事故によって生じる広告主様、建物所有者様の責任について、また、事故を未然に防ぐために出来ることについて解説していきます。
1.看板の落下による悲劇
2018年4月にグループ「仮面女子」に所属する猪狩ともかさんが、東京都文京区を歩いていたところ、強風で倒れてきた木製の案内板(縦2.8メートル、横3.5メートル)の下敷きとなり、猪狩さんは頭に切り傷を負ったほか、全身の複数個所を骨折。脊髄を損傷し、「両下肢麻痺」と診断され、この事故以来、車椅子での生活を送られています。
2.誰が責任を取るの?
猪狩さんは、その日たまたま歩いていた路上で、まさか看板が落下してくるとは思わず歩かれていたところ、この事故に遭遇されています。皆さんも普段、まさか看板が落下してくるなどを気にして街を歩いてはいらっしゃらないと思います。
では、安心して街を歩けるように誰が看板を管理するのでしょうか。そして、誰が今回のような事故の責任を取るのでしょうか。
答えは、設置をされている物件の所有者と看板の占有者です。
物件の所有者と看板の占有者というのは、例えばビルの所有会社Aがそのビルに付帯する袖看板をコンビニBに掲示させていたとします。Aが物件の所有者、Bが占有者となります。そしてその看板が老朽化と自然災害によって落下し、誰かを傷つけてしまった場合、物件の所有者Aと看板の占有者Bが責任を負うことになります。
なお、猪狩さんの事故の場合、看板は国が設置していたもので、猪狩さんは国に対して安全対策を怠ったとして損害賠償を求めていらっしゃいます。
猪狩さんの事故に関しては、その時の心境が綴られておりますので、ぜひご覧ください。(https://toyokeizai.net/articles/-/363077)
この事故の他にも痛ましい事故が過去にも発生しており、2015年2月には、札幌市内の飲食店ビルの外壁に取付けられた看板の一部が落下し、歩道を通行していた女性の頭部に当たり重傷を負わせる事故が発生しました。外壁への取付け部品が腐食したことで強度が低下し、強風の影響で落下したものとみられています。
1997年6月には、台風による強風で渋谷区のセンター街入口に設置されていた旧アーケード看板(重さ4t)が倒壊し、数人が下敷きとなり男性一人が死亡。この事故で商店街組合、役員、理事が計1億円の賠償金を負いました。看板会社が所有者に安全点検を勧めたものの放置されていたとのことです。
3.条例での決まり事
これらの悲しい事故が多発していることから、国土交通省では下記の広告物の安全管理義務を定めています。(屋外広告物条例ガイドライン)
(1) 屋外広告物の所有者又は占有者は、当該屋外広告物の補修、除却その他必要な管理を怠らないようにし、良好な状態に保持する責務があることを明記。
(2) 屋外広告物の所有者又は占有者は、屋外広告士など専門的知識を有する者に、当該屋外広告物の本体、接合部、支持部分等の劣化及び損傷の状況を点検させなければならない旨の規定を追加。
(3) 屋外広告物の所有者又は占有者は、許可の更新等の申請を行う場合に、(2)の点検結果を都道府県知事に提出しなければならない旨の規定を追加。
つまり、所有者と占有者は共に、良好な状態を保持するために専門家に依頼し、安全かどうか点検をし、点検結果を都道府県に提出する義務があります。
4.看板落下による事故を防ぐためには?
①専門家に依頼する
法定点検の際や、看板の安全性に不安を感じたときは、設置した際の看板屋さんへ点検を依頼しましょう。(設置した看板屋さんがわからない際は、近所の看板屋さんへ問い合わせを行っても良いでしょう)
プロの目線で点検を行い、専門的な知見から安全の維持に必要な提案がもらえます。
②定期的なセルフ点検を行う
ガイドラインに基づき法定点検を行うのはもちろんのことですが、日常的に看板や看板を支える柱に錆がないか、触ってみてぐらつくことはないかなど、定期的にご自身で確認することも安全を保つためには大切です。異変があれば看板屋さんへ連絡をしましょう。
③安全な場所に設置する
看板を設置する際、視認性が良いところへ看板を掲載したいところですが、安全な位置に取り付けることも大切です。強い風が吹き付ける箇所に大きな看板を設置するのは控えるなど、看板屋さんと相談をして設置すると良いでしょう。
5.まとめ
看板は古くからある有効な広告手段で、道行く人全てが広告の消費者となるメディアです。しかし、安全でなければその看板はその消費者を傷つける凶器となってしまうリスクを持ち合わせています。看板の安全性については、ぜひ街の看板屋さんに点検を依頼し、必要な場合は修繕することで担保できますので、看板を掲示させている建物所有者の方や看板を掲示している広告主の方はまずは看板屋さんへ問い合わせてみてくださいね。
(参考:国土交通省 屋外広告物条例ガイドライン)
One thought on “その看板安全?看板の老朽化で起こる落下事故やその責任は誰が取るの?”
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